有限会社西田屋 宇都宮 愛 様

学生服が減る前に、
次の収益の柱を一緒につくる。

80年続く「大切な日の一着がそろう店」の強みを、数字と小さな実験で確かめながら、次の10年を支える柱へ育てるご提案です。

東広島市 令和8年度プロフェッショナル人材活用支援事業 応募提案書
01 / 見立て

本当の課題は「次の売上の柱」がまだ見えないこと

募集文を拝読し、こう受け取りました。学生服は売上の約4割を占めますが、少子化でこの先増えることはありません。だからこそ、学生服が減りきる前に、それを補う収益の柱を育て始めたい。優先順位がつかないことも、時間がないことも、その柱づくりを阻む壁なのだと思います。

ご提案の考え方

  • 助言で終わらせず、表づくり・DMやチラシの下書き・提案資料など手を動かす部分は私が担います
  • 思いつきで決めず、前提を数字で確かめ、小さく試してから次の一手を決めます
  • 柱は1本に賭けず、短期・中期・長期で役割を分けて組み立てます
02 / 西田屋の強み

すでに「勝っている」ものがあります

約10%
紙のハガキ100通で約10人が来店。DMとしては非常に高い反応率です
100〜200万円
月1回のイベントで、2日間の売上
町で唯一
制服・洋品・呉服を扱う店は黒瀬で西田屋だけ
80年
問屋やメーカーとの信頼。ラックを貸してもらえる関係

そして何より、お客様の好み・サイズ・何年も前の一着まで覚えているコンシェルジュ型の接客と、着付け講師としての技術。これは大型店にもECにも真似できない資産です。新しい道具を入れる前に、この資産をどこへ向けるかを決めることが先決だと考えます。

03 / 市場と地域の事実

「売る」より「着せる・支える」に伸びしろ

① 新品の着物市場は縮小傾向

2025年の呉服小売市場は約2,030億円で、2年続けて減少しています。主な要因は価格高騰と買い控えです。一方、この数字には着物レンタルなどのサービスは含まれていません。60代中心の客層に新品を売り増やすより、着付け・レンタル・お手入れといったサービス側に伸びしろがあります。

② 黒瀬町の中に大学がある

広島国際大学の東広島キャンパスは黒瀬学園台にあり、毎年卒業式の袴(着付け・ヘアセット)の需要が生まれます。他地域では、大学が地元の着付け事業者を募り、学内での案内や展示会の機会を提供している例もあります。小学校の卒業式でも袴が広がり、学生服メーカーが取扱店でのレンタルを始めています。

③ 高齢の方は、これから確実に増える

東広島市の65歳以上の割合は、2015年の22.3%から2045年には31.3%に、75歳以上は10.0%から17.6%に増える推計です。今の常連様が、施設に入ったり外出が難しくなったりした後も「服を選ぶ楽しみ」を届けられる店は、地方ではむしろ減っています。

04 / 柱の設計

短期・中期・長期の4段構え

軸は、宇都宮様ご自身の言葉である「大切な日の一着がそろう店」です。常連様向けと新しいお客様向けは、入口も商品も分けて設計します。金額が違えば客層が違うためです。

短期|すぐ売上に変わる
① 休眠客の掘り起こし(イベント強化)

過去にお買い物をされたのに、最近お見えでない方へハガキを送ります。反応率10%の実績がある勝ちパターンを、新しい送り先に広げるだけなので、費用は数千円で済み、最も確実です。

最小テスト:1月のイベントに向けて、休眠客だけに50〜100通送付。反応率5%以上なら、送り先を常に増やす仕組みにします。
中期|確実な入口
② 卒業式の袴・着付け・式典の装い

町内の大学や小学校の卒業式、七五三などの式典に、袴・着付け・ヘアセットを届けます。学生服で築いた学校や保護者との関係が、そのまま案内の入口になります。学生向けは長い目で見れば縮む市場ですが、新しいお客様と出会う入口として確実な役割を果たします。

最小テスト:学生服のお客様や着付け教室の生徒に、来年3月の卒業式の袴を案内し、予約件数を確かめます。取扱メーカーの袴レンタルを使えれば、在庫を持たずに始められます(要確認)。
長期|伸びる市場の柱
③ 介護施設・デイサービスへの出張販売

施設に入ると、服を手に取って選ぶ機会がなくなります。そこへ店が出向き、「一日だけのお店」を開きます。他地域では、洋品店や卸が病院や介護施設を定期的に回る出張販売がすでに事業として成り立っています。

  • イベント運営のノウハウ、問屋が貸してくれるラック(在庫リスクが低い)、常設で人気の足に悩みがある方向けの靴がそのまま使えます
  • 長年のお客様がついている社長と叔母様が担い手になれるので、宇都宮様に負担が集中しません
最小テスト:近隣の1施設に「お買い物会」を提案し、1回あたりの売上と次回開催の希望を確かめます。
長期|呉服屋の原点
④ 着物のお手入れ・仕立て直し・相談窓口

たんすに眠る着物の行き先に困っている方は多く、付き合いのあった呉服屋が廃業して相談先がない、という声もよく聞かれます。黒瀬で呉服を扱うのは西田屋だけです。お手入れ・仕立て直し・リメイクの手数料に加え、お預かりした着物がアンティーク反物のネット販売の仕入れにもなり、在庫に限りがあるという弱点を補えます。

名前の案
きもののかかりつけ 西田屋

毎月の相談会は「たんす開きの日」、娘世代への案内は「母の着物、どうする?」。「処分」ではなく「もう一度生かす」相談として打ち出します。

最小テスト:月1回のイベントで相談コーナーを設け、相談件数と1件あたりの売上を確かめます(買取を行う場合は許可の確認が必要です)。

※このほか、介護施設や地元企業の制服(法人ユニフォーム)も、学生服の採寸・発注の仕組みを生かせる候補です。問屋・メーカーの取り扱い状況を確認したうえで検討します。

05 / 売上の試算

学生服の減少分を、複数の柱で埋めにいく

以下は、まだお店の数字を拝見していない段階での仮定です。1ヶ月目に実際の数字で置き換えます。

項目仮定年間の目安
学生服の減少年3%ずつ減少毎年 約−45万円
② 袴・着付け1件1.5〜2万円 × 年50〜100件75〜200万円
③ 出張販売1回10〜20万円 × 月1〜2回120〜480万円
④ お手入れ・相談月3〜5件 × 1件2〜3万円70〜180万円
① 休眠客の掘り起こしイベントの上乗せテストで確認

どれか1本で学生服の減少をすべて補うのではなく、短期の①で足元を固めながら、②〜④を育てていく考え方です。判断は売上ではなく粗利(手元に残るお金)で行います。

06 / 3ヶ月の進め方

確かめて、決めて、試す

契約期間(11〜1月)のすぐ後に、学生服の繁忙期(2〜3月)が来ます。3ヶ月目のゴールは、柱の手応えをつかむことと、今年の2〜3月を少しでも楽にすることです。

1ヶ月目|11月

前提を数字で確かめる

  • お店・イベント・着付け教室に伺い、実際に拝見します
  • 部門別の売上・粗利、イベントごとの送付数・来店数・売上を1枚の表にまとめます(作成は私が行います)
  • 休眠客の人数、着付け教室の生徒数、取扱メーカーの袴レンタルの可否などを確認します
2ヶ月目|12月

柱を選び、最小テストを仕掛ける

  • 4つの柱を粗利で比べ、取り組む順番を決めます
  • 休眠客ハガキと袴の案内を実施します。文面とチラシの下書きはAIを使って私が用意します
  • 2〜3月に向けて、学生服の採寸・学校回りの段取り表をつくります
3ヶ月目|1月

結果を見て、次を決める

  • ハガキの反応、袴の予約件数を振り返ります
  • 出張販売の1施設目への提案資料をつくります
  • 次の3ヶ月で育てる柱を、ご家族3人で決めます
07 / 実行の壁と対策

計画倒れにしないために

人手が足りない

柱を増やすほど人手が要ります。出張販売は社長と叔母様、卒業式の当日の着付けは着付け教室の上級生・修了生にお手伝いいただく形を検討します。教室が人手の供給源になり、生徒様には実践の場になります。

繁忙期と重なる

卒業式は学生服の繁忙期と同じ時期です。段取り表で学生服の作業を前倒しし、当日の着付けを分担できる体制を先につくります。

やることが増えるだけ

手間に見合わない催事や品目は、数字で見つけて手放すことも一緒に決めます。足すだけでなく、減らす判断も支援します。

デジタル化が負担になる

お客様の中心は60代で、ハガキがよく効いています。紙のDMは残し、顧客情報の整理や文面づくりなど、裏側だけを楽にします。

「全部を一度に解決する」のではなく、3ヶ月で「何に力を入れるか」の答えを出し、一つ試して手応えをつかむ。その積み重ねで、次の10年の柱を育てます。
08 / 自己紹介

現場で手を動かしてきた経営者として

鹿児島で、地方の中小企業や個人事業者のAI活用・DXを支援する会社を経営しています。建設業、伝統工芸、農業、医療・美容などの現場に入り、仕組みづくりから定着まで伴走しています。

自ら店舗を経営してきた経験
大阪・奈良・鹿児島で治療院と美容サロンの複数店舗を運営しました(柔道整復師)。治療院に美容サロンを併設した際、金額が違えば客層が違うことを身をもって学び、常連様向けと新しいお客様向けを分けて設計する考え方の土台になっています。足や体の悩みに合わせた靴・服の選び方も、専門的な視点からお手伝いできます。
家族経営・地域の事業者の伴走
建設会社や地域の新聞社などで、業務の棚卸しから、AIを使った資料づくり・文書作成の仕組み化、社内研修まで、小さな組織で実行に移すところまで伴走しています。
伝統工芸(絹織物の工房)の支援
ブランドの物語づくり、卸向けの営業資料、キャッシュレス決済や勤怠管理の導入比較など、伝統的な染織の工房の経営を支援しています。着物・反物の価値をどう伝え、どう売るかを現場で考えてきました。

このほか、百貨店で手作り作家展などの催事を行う会社の運営に携わった経験もあります。

並行して小さな事業も自ら営んでおり、限られた人手で現場を回す大変さは身にしみています。専門用語を使わず、宇都宮様の「やりたいこと」を伺いながら、一つずつ決めて一緒に動きます。

09 / 進め方

ご支援の形

定例週1回 15分〜1時間のオンライン定例
来店1ヶ月目にお店に伺い、店内・イベント・着付け教室を拝見します
私が担うこと数字の表づくり、ハガキ・チラシ・案内文の下書き(AI活用)、施設や学校への提案資料、振り返りのまとめ
宇都宮様にお願いすること数字や資料のご共有、取り組みの判断、お客様への声かけ
期間初回3ヶ月。結果を一緒に振り返り、その先の進め方を相談させてください
参考資料
  • 矢野経済研究所「呉服市場に関する調査を実施(2026年)」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4083
  • 広島国際大学 東広島キャンパス所在地(東広島市黒瀬学園台)https://www.hirokoku-u.ac.jp/
  • 福知山公立大学「卒業生向け袴レンタル及び着付けサービス出展事業者の募集」https://www.fukuchiyama.ac.jp/wp-content/uploads/2026hakamarental_koubobun.pdf
  • 菅公学生服「小学生の卒業式向け袴・卒服レンタル開始」https://www.oricon.co.jp/pressrelease/3015590/
  • 東広島市 年齢階級別人口の推移・推計 https://ecitizen.jp/Population/City/34212
  • 介護施設での衣料品販売会の事例 https://www.walkerplus.com/article/1178786/amp/